汚いものから大事になっていく
竜門勇気


ちょうど今の君は昔の僕に似てる
好きな靴とか何もかも
変わり続けることを拒絶していること
楽しいことが嫌いなところも

気に入ったシャツはずっと着ていたい
毎朝冷えてないペプシを飲みたい
でもすべてが循環するのが世の中ってやつさ
シャツは擦り切れ、冷蔵庫はいつか空っぽになる
星は錆びて、心のありかもいつかは

ちょうど今の君は昔の僕に似てる
嫌いな奴とか何もかも
昨日と同じ今日が好きなとこ
悲しい出来事が日常だってことも

シャツは擦り切れ
靴下に穴が開く
汚いものから大事になっていく

ちょうど今の君は昔の僕に似てる
ラクダに乗って爪を切っていたい
サラダを残してバイクに乗って
朝が来るまでガラクタ集めさ

ガスの匂い
声の匂い
誰かここにいるって
汚いものから大事になっていく

ガスの匂い
靴の匂い
誰かここにいるって言って
汚いものから大事になっていく

ちょうど今の君は昔の僕じゃなくなってく
壊れるぐらい大きな音でロックを聞く
耳が壊れる心が壊れる体が壊れる
ヘッドフォンがぶっ壊れる

汚いもんがきれいになっていく
汚いもんが大事になっていく
汚いもんがかつて何だったのかわかるようになってくる
汚いもんが花束を抱えてこの部屋を訪ねてくる



自由詩 汚いものから大事になっていく Copyright 竜門勇気 2022-08-23 19:40:39
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