女學生日記 二十九
TAT


八月十四日 月曜
天氣 晴
起床 六時三分
就床 十時二七分

朝早く起きて又丸へ行つた
お供物を持つて叔母さんと昌子ちやんのお墓へお參りした
昌子ちやんは此の間 はやてで死んだ四才の私の従弟である
あの元気だつた昌子ちやんが此の下に眠つてゐると思ふと思はづ泣いてしまつた
叔母さんは隆ちやんが學校から歸らぬので後から行くと言はれた
岐阜の叔母さんも見えた



八月十五日 火曜
天氣 晴
起床 五時〇分
就床 十時二〇分

兄さんや叔母さん妹達と貝釣りに行つた
隆ちやんと兄さんは鮒をたくさんすきました
お祖母さんに貝と小鮒を見せて「煮て下さい」と云つたら「少しだからいけません」とおつしやつたので川へ明けてきた
印をつけておいたから今度行つた時にたくさん釣れるだらうと思つてゐます
お祖父さんは北方町まで買物に行かれた
夕方お父さんがゐらつしやつて夕食をすましてからすぐ政田へ行かれました



八月十六日 水曜
天氣 晴
起床 五時二〇分
就床 九時三〇分

朝少し早く起きて母と父の在所へ行つた
梨がとてもたくさんなつてゐる
政田には長良の陽子さんが来て見えた
目高等をすくつて遊びました
お晝御飯を戴いてから二時半頃歸つた
それから兄さんと貝釣りをした
五時の電車で岐阜の叔母さまも又丸の叔母さまも家も皆な歸つた
今まで十三人も居たのが二人になつてしまつたから
お祖父さんやお祖母さんは淋しいだらう
八時半家に歸る
すぐ寢る



八月十七日 木曜
天氣 晴
起床 七時二〇分
就床 十時二〇分

昨日の疲れで遅くまで寢てゐたのでラジオ体操に行かなかつた
日記の整理をした
お風呂水を汲出
夜風呂に行つた


八月十八日 金曜
天氣 晴
起床 五時十五分
就床 九時十二分

朝美奈子さんとラヂオ体操に行つた
二階の大掃除をした
お晝から裁縫をした
夜はお風呂へ入つた
前のちえ姉さんが大きな蛾を持つて来て下さつた
早く寢る



八月十九日 土曜
天氣 晴
起床 五時十二分
就床 九時五二分

朝ラヂオ体操に行く
大きな桃色と白色の縞の入つた蛾が居つたので捕まへて展翅しやうとしたら針をさしたまゝ逃げて居つてしまつた
惜しくて〳〵てたまらなかつた
ので逃げて居つた方を何時までも見てゐてお兄さまに笑はれた
風呂水を汲む



八月二十日 日曜
天氣 晴
起床 五時十五分
就床 九時二〇分

今日はラヂオ体操の最後の日です
ラヂオ体操が終つてから開會式がありました


散文(批評随筆小説等) 女學生日記 二十九 Copyright TAT 2022-08-21 15:40:47
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