平成を生き延びて
万願寺

どう見てもセブンだったコインランドリー
セリアになった文教堂
跡形もなく消えたケンタッキー

街の記憶ではない
私の記憶である
誰にも譲ることのできない
私の記憶である

市営住宅の奥から遠くさんまを焼く匂いが心臓を叩く
私の記憶、私の年齢、私の幼観
誰にも
明け渡すことができない
かなしくなるほど
しあわせな


自由詩 平成を生き延びて Copyright 万願寺 2022-05-02 19:48:27縦
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