街の食材
番田 

住んでいる街によって、食べ物は異なるのだということを、時々。今住んでいる街ではフランスパンは手にすることはできないが、前に住んでいた街ではフランスパンがよく売られていて、歯ごたえがあって美味しかったものだった。逆に安いものばかりで助かってはいる、たとえば食パンのスライスが50円程度で手に入るからだ。しかし、わざわざ食べに行きたいとまでは思わないのだが、いつも、そういった食べ物は心の何処かにあって、時々あそこで買ったラスクやフランスパンをまた食べたいと思ったりする。そして、そういった行為は、あの人は今どうしているのだろうと思ったりする以上に、遥かに有益な行為ではあった。今住んでいる街ではスーパーが主だったので、誰かに顔を覚えられるということはあまりなかった。海鮮類は地元で獲れたものではなく、大洗の港から仕入れたものを扱っているようだった。しかし、何件かあれば、相当な種類の商品になる。そして、大洗に運ばれてきた全国各地の魚や肉を直接仕入れているのだ。地元産のものは無かったが、この街には鮮度の高い、いろいろな産地の商品がとにかく、売られていたのである。



散文(批評随筆小説等) 街の食材 Copyright 番田  2022-04-27 01:26:47
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