春のアンカー
ベンジャミン
草木が色を変える速さで
過ぎ去ろうとする四月
桜前線はまだ北上を続けているのだろうか
何かを引きずるようにして後ろ手をのばせば
はっきりと感じられる
温度がある
それは
得たものと得られなかったものの差のように
実際の気温よりも少し
冷たく感じる
身体を前へ傾けて
明日の方向へ歩き出すとき
それだけでは前に進めないような不安が
あなたをうつむかせてしまうとしても
もう五月なのだ
気温はこれからも上昇を続ける
同じように加速してゆくいろいろに向かって
臆病になっている暇はない
勇気を出して
後ろ手に隠していた手のひらを
照りつける太陽に向ければ
得たものは自信となり
得られなかったものは目標となり
ほら
受け止めたぬくもりは
まるで春を増したかのように
あなたの体温よりも熱く感じる
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テーマ詩「月の詩(ウタ)」