粉状少女と、逃げる自販機
ツチヤタカユキ

起きたら、全部の指が親指になってたから、
マニキュア塗る領域は、壮大。
ブラックホールの中は、1LDK。家賃は5万。
大島てるで見たら、超がつく程の、事故物件。
スロースターターな、精液は、ティッシュで拭き取られて死滅。

カーセックスが、道路交通法違反じゃない世界では、タイムズに停めてある、千台の車体が揺れまくる。
宇宙の果てまで走らせたアルファロメオ。
そこまで来たら、カーナビは、終始無言。


アルコール依存症になったキティーちゃんが、サンリオピューロランドを、千鳥足で練り歩く。
AV女優のあえぎ声に、共鳴して爆発する惑星。
魂を洗濯するコインランドリーで、ドラム式洗濯機の中で回転してた、私の魂。
誰かが、ベッドのシーツと間違えて、持って行っちゃった。

血塗れティーチャーが配るテストは、血痕で、だいたいの問題が解読不能。
背中に避難梯子を付けた、優しい巨人の、
全身バリアフリー化計画。
脳みそは、言葉たちの控え室。
JASRACに登録されている、私の心音。

煙幕の中でしか生きれない少女を、生かし続けるために、続いてる戦争。
妊娠検査薬にかけた鼻血。なのに出た陽性反応。
「神様なのに、何でなの?」
ミミズのような、いでたちしてる。

瞑想中のあの子に、テレパシーで送りつける、
全身に乗らなくなった自転車を、溶接されたメカゴジラ。
これまでの、全部の記憶を消された手塚治虫が、再び描いた鉄腕アトムには、もの凄くリアルなペニスが付いてる。

粉状の恋人が、強風で世界各国に散らばったから、今から集める旅に出る。
砂漠で唯一の、逃げる自販機。それを追う喉が渇いた私。
トムとジェリーのような永遠の追いかけっこ。

「絶叫フロアーで、お昼寝なんて無謀だな」
涙腺に、ストロー刺して涙吸われた、号泣のカツアゲ。
空中都市から降って来る自殺者。
受け止めるために、地上の全てを、トランポリンに変える。
モニタールームの全ての画面が、
君の寝顔で、いっぱいになる。

両足が言う事を聞かずに、勝手に連れて来られた濁点の左下。
それ以来、私の立てる音には全て、濁音が被さっている。


自由詩 粉状少女と、逃げる自販機 Copyright ツチヤタカユキ 2021-12-02 05:48:17
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