月の帰り途
平瀬たかのり

 今日もよく働いたものだと
 よろよろペダルをこいでいく
 農業振興道路
 なにとはなしに空見れば
 何日目の月だろう

 月はやっぱり女なのだ
 スナック『夜空』のナンバー1ホステス
 なのだ、とか思ったのは
 また詩を書き始めたからなのか

 月子 月代 月美 月穂 月香
 羽月 雨月 湖月 美月 紗月
 月乃 月緒 詩月 菜月 ルナ

 ぜいたくにいこう
 山際のカウンター
 いちどきに並んだ彼女たちの
 微笑みの酒を受ける、ぼく
 明日は欠け行く彼女たちの
 なみだの酒を受ける、ぼく

 なんてな
 よろよろ、よろよろ
 
 明日も仕事だ、でも
 今夜の冷蔵庫には
 今朝冷やしてきた
 発泡酒が待っているじゃないか


自由詩 月の帰り途 Copyright 平瀬たかのり 2021-10-11 19:19:03縦
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