夜の山手通りを
番田 

僕は昔、中目黒からの帰り道を、土屋という名の男と歩いていた。上司に連れられて行ったバーからの帰り、交通手段はなく、タクシーに乗る金もなく、五反田までの一本道を必死で歩いて二人で事務所にまで僕は戻っていた。僕は、でも、山手通りと名付けられたその道を歩いたのは、その時が初めてだったのかもしれない。僕らはそれからしばらく歩いたのだけれど距離があまりにもあったのでタクシーを使ったのだけれど。会社では、僕のすぐ後に入ってきた新人だった土屋。彼には彼女がいて、彼は確か理科が好きだと言っていた。朝方、事務所に着くと山手線で寝ると言って、彼は出ていった。僕はそこからアパートが近かったので、直接、帰った。


散文(批評随筆小説等) 夜の山手通りを Copyright 番田  2021-10-06 01:50:48縦
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