実在した横田英博についての覚え書き
一輪車

よくわからない人たちばかりだ。
この掲示板が汚い言葉で穢れるのがいやだから、
「物置」の侮辱的な誹謗中傷を無視して黙っていた。
そのときには
花形新次さん以外だれも「物置」のデマ、侮辱、誹謗中傷を
問題視しようともしなかった。

しかしここで、わたしへのストーカーが使った変名のひとつ「横田英博」なる名前は
おれの友人でこの時代に、仕事がなく飢えて凍死した
西成釜ヶ崎のホームレスのひとりなのだ。
愛媛県の出身で米屋の長男坊だった。
先に女の子が四人も生まれて、五人目にやっとできた男の子で
両親は目の中に入れても痛くないとばかりに可愛がった。
そのせいか、自立心に薄れ、人は良すぎるほどいいものの、
性格の弱さがたたってホームレスになるほどの心的な問題を
抱えてしまった。
その心理的な弱さの内容は本人の心の問題でだれにも話せないが、
その人物の名前をハンドルに使って誹謗中傷をはじめたからとうとうおれは切れた。

おれが反撃をはじめると、
とたんに、あちこちから横槍が入る。
おれが黙って耐えていたときには何もしなかったくせに、
おれが反撃をするとアラガイのようにぶつぶつ文句を書き込む。
それならなぜ、ストーカーのデマ野郎には注意しなかったのか?

実在する横田英博はホームレスだったとはいえおれはその人間性を愛していた。
横田は性格の弱さを酒でごまかして生きてきた男だった。
60過ぎで餓えて凍えて死んだが、死ぬ前におれの家に酒代を借りにきた。
おれはいつも貸していたがその日は虫の居所が悪くて拒絶した。
酒で己の心を消さなければ生きていけない横田は悲しい顔をして去った。

それから数日して横田を探しに行くと、いつもの古ぼけた廃屋にいたが、
様子がおかしかった。ろれつがまわらず、脳梗塞のようにふらふらしているので、
救急車を呼んだが
断固として病院へ行くことを拒絶した。本人が拒絶しているので救急車は帰っていった。
おまえ独りでこんな状態でどうするんだと叱ると、
「いや、上に二人いる」といった。廃屋の二階にはだれもいないのに、おれはぞっとした。
オヤジとおふくろのことをいっているらしかったが目つきが異様だった。
その翌日の朝、心配して横田を尋ねると、横田はその廃屋の玄関を
入ったところで大の字で凍死していた。
肌の色は土色になっていて、ほんとうに木のように硬直していた。
近所の小さな板金屋のおかみさんの話では深夜に「ギャー」という絶叫が
聞こえたという。

警察に連絡すると形通りの立ち話での質問だけで終わった。
おれは横田の好きだった焼酎と花一輪をそえて合掌して去った。
あの日、どうして酒代をやらなかったのか悔やんでいる。
消したい過去の記憶を消す酒がないと空気がないのと同じで横田は
死ぬしかなかったのだ。
二十四時間酒が入って頭がしびれていないと過去への後悔で死ぬほどの
苦痛を味わうのだった。
その横田の名前をどこから引っ張り出してきたのか知らないが、
このストーカーキチガイ野郎が平然と使い始めてとうとうおれは切れた。

わたしの周辺にかつて実在した友人の名前をどこでどう調べたのか知らない。
わたしにしてみればわたしの友人の横田を侮辱することになるハンドル名で
へらへらとデマを流しはじめた。
しまいには「横田英博はおまえだ」といいだした。
その「横田英博」の侮辱デマ誹謗中傷コメントを田中宏輔と鵜飼千代子が「いいね」した。
アラガイには悪いが
許せるものと許せないものがある。
いくらデマを流され侮辱されても黙っていたが、また、黙ってろというやつらばかりだが、
そうはいかないこともある。

それからアラガイはおれに鵜飼千代子をしつこく非難するなというが、話もしたことも
なにもないのに
いきなり「死ね」とコメントしてきたのは鵜飼千代子だし、その後も、いやがらせを
しているのはあの婆あのほうだ。
おそらくおれが保守的な考えでサヨクを侮蔑しているからだろう。あるいはあのデマ野郎=蛾兆の知り合いだから
蛾兆に代わっておれを侮辱したいのかもしれない。いずれにせよ、なにもないのにおれが
だれかを攻撃することはない。

横田英博についてひとつ鮮明な思い出がある。
横田は新今宮駅前にあるスーパー玉出の脇の暗がりに専用の場所を決めてそこに腰をおろして
いつも安い焼酎を飲んでいた。
その場所はなかなかに立派な中産階級とおぼしき小綺麗な邸の玄関先にもつながっていた。
その邸の奥さんが、横田をみるといつも必ず酒やおかずをもってくるのだった。
ほかのホームレスには見向きもしないし相手にもしないのに横田だけは別だった。
不思議な出来事なのでそれはそのまま不思議なことにしておけばよかったのだけど、
あるとき「どうしてですか?」とついその奥さんにきいてしまった。
するとその品のいい奥さんはこういった。「だって、あの方、神様ですもの」










散文(批評随筆小説等) 実在した横田英博についての覚え書き Copyright 一輪車 2021-03-29 14:58:30
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