遺伝子
こたきひろし

この世界には
見えるものと
見えないものとに分かれている。

授業と授業の間の休み時間
便所に小便を垂れに行ったら
偶然隣りの便器に立った上級生は札付きの悪だった。
いきなり声をかけてきた、
 オイお前。男だったら誰でも涎が垂れてくる写真を持ってるから
 買わないか。
脅すように言ってきた。

その時僕は同じ高校生だったけれど、僕には目立った札は何も付けられてなかった。
表面上真面目で大人しくて目立たない一年生だった。見るからに痩せた体型をして気弱な性質を露呈していた。

当時も現在も僕はヒツジに分類されるヒトで、簡単に命令されたり支配されやすい部類だった。
僕は心臓の心拍数を著しく上昇させながら、見え見えの媚びた声音で震える心情で聞いた。
 何の写真ですか?
すると上級生が声を大きくした。
 馬鹿かお前!女のあそこの写真に決まってるだろ!
と言ってから具体的な名称を躊躇なく口にした。
その間、他の生徒も便所に入ったり出たりしていたが、誰も見て見ぬ振りをしていったし教師は一人も表れなかった。
 それもただの写真じゃないんだ。俺の知ってる女の写真だぞ。ここの学校のよ。
僕はヒツジなので言ってる言葉の意味が直ぐには理解出来なかった。

当時の非行少年グループの悪行が度を越えていた事は周囲の間で密かに囁かれていたが、まさか
そこまでとは想像していなかった。

その結果
ヒツジが狼に逆らえる筈はなかった。
それはこの世界の至る所で発生する事実。現実だ。

僕は弱者の一人に生まれついていた。
僕の遺伝子にはそれが刻印されているに違いない。


追記
以上はあくまでフィクション
ですから。

追記
作者の体験を引き延ばし膨らませた
フィクションですから。

追記
途中怖くなって未完成にしてしまった
フィクションですから。


自由詩 遺伝子 Copyright こたきひろし 2020-10-18 06:39:28
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