プリンの一日
クーヘン



目が覚めると、今日もプリンの一日です。
円グラフ、黄色で塗りつぶしちゃうのです。



夏の朝、粉ゼラチンを制鞄の底に隠し、隣町へ密輸の旅さ。
その町に住む不登校の友達に、プリンを作ってあげたくて。



夏休みの自由研究はプリンの成長記録にしようかな。
プリンはプリンアラモードへと成長するらしいので。



プリンがプリンアラモードへと成長するなんて本当だろうか。
プリンの進化形はプクリン、ピッピの進化形はピクシーだし。



プリン瓶を捨てずにいるのは、このような午後のため。
このような、唐突に色水遊びをしたくなる午後のため。



狭いワンルームに、もちろん彼女は帰って来ない夕暮れ。
広い地球上に、まるで僕はプリンと2人ぼっちなのでした。



プリンはプルンプルンと揺れ続けるわけですが。
僕のプリンへの愛は少しだって揺らぎはしない。



いい年した男が、プッチンプリンをプッチンしている宵深く。
藍の小皿に金星は生まれ、いい年した男の心に父性は生まれ。



プリンはゼリーの夢をみるだろう。
透けた体に、少し戸惑いながらも。



目が覚めると、明日もプリンの一日です。
目が覚めるだけで、明日も幸せな一日です。




自由詩 プリンの一日 Copyright クーヘン 2020-08-30 00:59:12
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