夢海月
塔野夏子

晩夏の
午睡の
淡い緑の濁りの中を
海月が漂う
一匹 二匹
三匹 四匹……

海月たちは
優婉に
漂っている
半透明のからだを
ときおり
仄かに虹色に光らせて

一匹 二匹
三匹 四匹……
それは優雅な
舞のようで

けれどわかっている
手をのばして
触れてはいけない
毒の痛みにうたれて
目が覚めてしまうから

あるいは
夢から覚められなくなってしまう から

海月たちは
淡い緑の濁りの中を
ときおり 仄かに虹色に光りながら
幽遠に
漂ってゆく……





自由詩 夢海月 Copyright 塔野夏子 2020-08-23 11:14:36
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