もちはる

すっと
鞘から出し
慣れた剣をきりりと見て
「この歳になると
 斬りたい人の
 一人や二人はいる」
いつもは穏やかな
友の眼が光る

真新しい剣をじっと見る
ぼやっと浮かぶ影
さっと振り払う
そんなことをしなくても
自ら滅びるであろうし
神が下すであろう

この剣は
己を裁くもの
上から 弱さを斬る
横から 狡さを払う
翻って 言い訳を刺す
そして
そっと
鞘に収める

静かに礼


自由詩Copyright もちはる 2020-07-15 22:04:30
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