無限∞
おぼろん

 君が無限の一列目にいる時、僕は無限の二列目にいてふるえている。君から僕へとたどり着く手段はなく、君は泣いている。僕はどうすれば良いのか分からず、なすすべもなく立ち尽くしている。この世界のどこかには、無限の三列目があり、そこにも誰かがいるのだろう。僕から彼らへとたどり着く方策はなく、僕は「僕たち」として取り残されている。僕が無限の二列目を離れようとする時、君は、もしくはまた泣くのだろう。君は、無限の一列目にとどまったままで、はるかな行く末だけを夢見ている。


[アレンジメント]

 私が、無限の一列目にいる時、無限の二列目に貴方はいる。私から貴方へとたどり着く方法はないから、私はただ立ち尽くし、思いあぐねている。この世のどこかには、無限の三列目があり、貴方は彼方へと旅立とうと、いつも気がかりな顔を露わにしているのでしょう。私から貴方へと手渡される便りは、無限の境界にあって、はかない泡のように消え去る。貴方は、私と同じ無限の一列目に下りようとして、下を見るのだろうか。私から、貴方へと手渡される手紙はもうない。貴方は、無限の三列目がどこにあるのかを、おぼろな眼差しでただ見つめている……。


[アレンジメント2]

 僕が、無限の一列目にいる時、無限の二列目に君はいる。僕から君へとたどり着く術はないから、僕はただ立ち尽くし、思い悩んでいる。この世のどこかには、無限の三列目があり、君は彼方へと旅立とうと、いつも気がかりな顔を覆い隠そうとしているのだろう。僕から君へと手渡される手紙は、無限の狭間にあって、淡い雪の一ひらのように消失する。君は、僕と同じ無限の一列目に下ろうとして、足元を見やるのだろうか。僕から、君へと手渡される手紙はもうない。君は、無限の三列目がどこにあるかを、おぼろな視線でただ追っている……。


[アレンジメント3]

 あなたが無限の一列目にいる時、私は無限の二列目にいてふるえている。あなたから私へとたどり着くすべはなく、貴方は俯いている。私はどうすれば良いのか分からず、なすすべもなく蹲っている。この世界のどこかには、無限の三列目があって、そこにも誰かがいるのでしょう。私から彼らへとたどり着く仕方はなく、私は「貴方たち」として取り残されている。私が、無限の二列目を逃れようとする時、あなたは、もしくはまた嘆くのでしょう。あなたは、無限の一列目に立ちすくんだままで、はるかな未来だけを見すえている。


自由詩 無限∞ Copyright おぼろん 2020-04-09 10:41:51
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