田中恭平

右脚の膝の痛みに気をつけながら
夜の郊外を歩いている
ひかり、閃光印象的なトラックとすれ違い
そのうつくしさに眼は
脳はもっていかれる

コンビニエンスストアに着くと
なにも欲しいものがないことに気がついて
自己デッサンの狂いの
顛末に自動 煙草を買ってしまった
煙草は喫わず、ナップサックの底深くに入れた
午前三時

転倒 ひっくりかえってしまえば
もう家には戻れない寒さがあるのだが
痛みの
右脚が頼り

新聞配達の原動機付自転車
なぜこんな時間に走っているのだろう?
という車とすれ違い
風の声を聞いた
アメリカでは風を福音の比喩とする

わたしは靴を
こころのように磨こうと考えた

何を失ったのか計算して
何を得たのか 自室にもどってこの詩をつづる

夜の階層をのぼりながら
一番上の椅子に落ち着いた
ゆったりノベルスが読めるだろう
脳の発火を促し
また力への意志を奮起させる
夜は不思議みちてともかくも書いたのだった




自由詩Copyright 田中恭平 2020-04-05 04:29:39縦
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