岡部淳太郎

ここに朝が
ものしずかに
何くわぬ顔で
並びはじめる
暗い間は よくわからなかった
私たちの影が
それぞれにはっきりと
目に見えはじめる
それでもなお影が
あるのは事実ではあるが
せめて片側だけでも明るく
照らしてくれるのは ありがたいことだ
影の代わりに光が
物を言いはじめて
そのひびきに寝ぼけまなこの鳥が
さえずりを加えると
草はそれぞれに屹立して
世界は忘れていたことを思い出す
陽が私たちの驚きをおおうように
空を白く 塗り変えようとする時
すべてが新しいのだということを
誰もがさとる
私たちの目醒めに
あまりにも近すぎる焦点を結ぶな
私たちはここに並んだ
それぞれの明るさの朝を
手にとって
青い夢へ
ふたたびの
眠らない夢へと急ぐ



(二〇一五年一月)


自由詩Copyright 岡部淳太郎 2020-03-28 21:50:32縦
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