田中恭平


しごとはどっちらけだったが
定時
帰らなければならなかった

頭を冷やす、物憂げにさせる雨がふっている中を
原付じてんしゃで飛ばした

はやく生活の根底をなす

のある家に帰りたかったのだった

人は死に、生きる中途を
わたしは走っていた

もわっとさせる
更に物憂げにさせる
あの、雨で濡れた草のにおいは
まだなかった
まだ六月ではないのだもの

きみと
電話した
段々
とうめいになってゆく
(あなたに罪はなかった)
きみの声が
わたし?ぼくは好きだった

その透明性の中で
死んでしまいたいと考えた

頭痛がして
それをごまかすために
アイスコーヒー・ブラックに
牛乳を注いで飲んだ
勿論、繭の中で




自由詩Copyright 田中恭平 2020-03-10 17:25:24縦
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