砂糖菓子の夜
ひかわゆきお

真夜中に目覚めた
砂糖菓子の人形
父親、母親、祖父母、子ども
母親だけが目覚めて
毒薬を飲む

父親の人形に
ナイフを当てると
首は簡単にもげた

祖父の首を落とし
祖母の首を落とした

(こんなことはのぞまなかった)

母親の爪が濡れている
マニキュアのような
赤い夜

母親は死んだ
毒をあおったのは
覚悟を決める為でした
(と
 供述した
 かもしれない)

子どもの首にナイフを当てる
その前に

あと少し
毒を飲むのが
遅かったら
(わたしが
 いちばんのぞんで
 いちばんのぞまなかったこと)

砂糖菓子の首が
いくつも落ちている
目覚めた子どもは気づくだろう
何よりも赤い朝に


自由詩 砂糖菓子の夜 Copyright ひかわゆきお 2020-02-14 00:29:47
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