五番街へ
こたきひろし

五番街に家が欲しくなった
だけど
この国の五番街が何処にあるかを
私は知らない

五番街に棲みたくなった
ボロいアパートでもかまわない
愛しい人と二人だけで棲みたくなった

五番街へ
タクシーを拾った
だけど
五番街は地図に載ってない
ナビも役にたたない

五番街で夢を拾いたかった
この国の五番街は
私の夢想のなかの街

若い頃はサイコロにあこがれて
身を持ち崩した
アルコールに爛れた胸を
冷たい風に切り裂かれて

今はもう若くない
そのうち
五番街のごみ捨て場に
倒れて血へどを吐くだろう

五番街へは
いつまでも辿り着けない
どこまでも
いつまでも
渇いた荒野をさ迷う
日々に明けくれる

だけさ


自由詩 五番街へ Copyright こたきひろし 2019-12-12 23:57:59
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