必馬仏子
ayu-m


茶漬けに押しつける様にした急須の先端から白米を少し、焦らした
朝方のルーズリーフに残った残り香の様な文字に目もくれたくは無い
老衰にはげあがって小さくなってやっと死んだ犬に上げる線香は桃色を選んだ
1年前からの幸せを数えはじめるが心当たりにひっかかるのは音源ばかり
そして今朝の僕は飯を片腕にして鼻先で笑いつつこたつを捨てる
神経衰弱の様なうらがえった細胞共は失敗を起こした蠅人間に似ている

熱を持って腹がのたうつのだ、光のまぶしさに

その背中をくれとせがむせむしに猫は言い放ったのだが何だったか
泣きじゃくる子どもの群れが世界各地にあふれて居るというだけで優しさに縋る
そのぶしつけな格好の悪さに僕は少々嫌悪感よりは怠惰も含めて心地よいは否
だから今朝は白米を焦らし、腹をのたうたせる
だから今朝はこたつを捨て、蠅人間を想う


自由詩 必馬仏子 Copyright ayu-m 2005-04-05 10:12:36
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