君に残暑見舞い
いまり

便利屋が生業のウサギたちを呼んできて
西の空に明日の夜浮かぶ満月を
家の庭でぴかぴかに磨いてもらったんだ
 へそまがりな君のお気に召すといいのだが
 
言い訳ばかりしてるのは僕のほうだから
君が怒るのはもっともな話だけど
郵便物の仕分けをしているアルバイト先で
残暑見舞いがちらほら混じってるのを見つけた
 
「立秋とは名ばかりの暑さで」などと
世の人は僕が思うよりずっと洒落ていて
そうやってお互いをいたわり合いながら
衣替えの準備をしたりするのだろう
 
僕はこのとおり気の利かない性格だから
むやみに君を苛立たせることもあるかもしれないけれど
ごめんなさいと言って許してもらうよりは
そんなこと忘れるくらい喜んでほしいから
 
一晩じゅう川辺のススキをかき分けて
やっと見つけたエンマコオロギの長老に
月を降ろしてもらえるようお願いしたりするんだ
 
今夜2時 夜空まで届くはしごを持って
ウサギたちが磨きあげた月を架けてくるよ
彼らがどんなに優れた仕事人であろうと
君を驚かせたいのは僕だから
この満月を空に返すのは僕の役目だ
 
 
 
もう少しすれば涼しくなるはずさ
 
 
 
じゃ、ちょっくら行ってくるよ。
 


自由詩 君に残暑見舞い Copyright いまり 2019-09-12 18:48:05
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