西瓜
両性具有

朝メシは西瓜
昼メシも西瓜
晩メシも西瓜
西瓜スイカすいか
おれの家は西瓜

おれはひたすら食い続けた
赤い果肉を無心に頬張りながら
朝も昼も夜も
休むことなく眠ることなく
齧り咀嚼し嚥下しながら
無我の境地に終に達したのだ
愛してやまぬ西瓜の時代だ
平成令和…
次の御代は西瓜だ
おれは西瓜天皇だ
そしてここは西瓜の皇居だ

赤い果肉を食いつくすと
底には苦い芯が眠っていた
柔らかな肉の下の
無暇な白い骨を暴いたのだ
俺は西瓜に溺れ染まった胸に
脈打つ真っ赤な西瓜を見つけた
うまそうなその赤い果肉に
あらん限りの力でかぶりついた

かくして
おれは死の暗闇の向こうに
燦然と西瓜の陽が昇るのを見た





自由詩 西瓜 Copyright 両性具有 2019-08-04 21:28:56
notebook Home 戻る