邂 逅
塔野夏子

身の内に云い知れぬ狂おしい憧れを
抱いている者どうしの
身の内に暗く轟く世界の崩落を
抱えている者どうしの

目くるめく共振

其処から次々と幾輪もの蓮の花がひらく
互いのそれまでの日々が尾を曳いて舞いあがり
天空で新しい星座を描く

数多の仮面ペルソナが砕け飛び散り
無垢な貌が見交わされる

聞こえるのは
はじめて聞く
だがかぎりなくなつかしい楽の調べ――

  それは束の間の夢かもしれない
  それでも あるいはだからこそ
  互いの存在を
  この上なくあざやかに
  深々と 証し合えるのだ





自由詩 邂 逅 Copyright 塔野夏子 2019-07-19 14:00:45
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