舟の歌
塔野夏子

私たちは舟の上で恋をした
舟をうかべる水面はきららかで
私たちを祝福しているかのようだった
私たちはあまりにも
恋することに夢中だった

時が経ち
私たちはどこかへ行ってしまった
けれど舟はまだそこにあり
水面はやはりきららかだ

私たちが 舟の上で
夢中で恋したことを 忘れ果てても
舟はなおそこにあるだろう
水面はいつまでもきららかだろう




自由詩 舟の歌 Copyright 塔野夏子 2019-07-07 11:56:37
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