地元で一番の安売りスーパーで
こたきひろし

女性の必需品買い忘れました。
六十四歳父親です。
いくら父親と言っても娘に頼まれた生理用品一人で買えるほどの強い心臓兼ね備えていません。
買い物はいつも十歳年下の嫁と二人です。

女三人と暮らしているといつもその内の一人は生理中です。
「お父さんは男だからいいよね。お股から血が出る女の気持ちなんてわからないでしょ。」
女たちによく言われてしまいます。
「男だって大変なんだよ」
と反論すると「何が?」と娘に聞き返されてはっきりと答えられません。

そんな時は私にしか聞こえないように嫁が言ってきます。
「男は出すだけでしょ。気持ちよく」

確かにそうかもしれないけれどそれが男の役回りだから。

地元一番の安売りのスーパーで女性の必需品買い忘れました。
明日も買い物に出かけるんだから買ってくるよ。と言い訳をしました。「なぁかあさん。」

いつもそれを買う度にレジ打ちのおねえさんが素早く銀色のビニール袋に入れてくれるんです。女性ならではの心遣い。私もつられてすばやくそれを手にします。下手したらキモい行為かも。
でも、それは夫ならではの心遣いか、それとも優越感か?何だかしあわせな気持ちが入り雑じっているんだよな。
男なんて単純な生き物だから。
ただ、気持ちよく射精するだけの。

射精したいだけの。


自由詩 地元で一番の安売りスーパーで Copyright こたきひろし 2019-04-07 08:11:11
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