小さな手
梓ゆい

甥っ子の手を握る時
妹が生まれた日の事と
父の手を思い出す。

私をずっと守り続けてくれた
大きくてごつごつとした手を。

小さな手を眺めつつ
すーっ。すーっ。と
寝息を立てる口元に
そっと耳を近づければ
いつでも思い返すのだ。

父に手を引かれ
生まれたばかりの妹を探して歩いた
ガラス越しの新生児室を。

お宮参りの参道で
父の人差し指を握り続けていた
丸くて小さな妹の手を。


自由詩 小さな手 Copyright 梓ゆい 2019-04-05 08:38:43
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