日曜日
中原 那由多

おはようの欠落
とんぼ返りはほとぼり冷めて
新たな縄を巻き付ける
寝たきり老人さながらに
青を見上げて潔く
骨が軋んだ音の向こう側には
太陽を嫌う吸血鬼はもういない
新聞の三面記事と遅めの朝食の隙間から
大動脈であるかのように
営み、その濁流が押し寄せる
君は国道二号線
春の少年さながらに
青を見渡し懐かしく
釣り人達はひゅんひゅん鳴って
日曜日になってゆく
光の網を敷き詰めて
水面をガラスに閉じ込める
波打ち際に瞼は冷えて
期待を寄せては無常を返す
砂糖大さじ一杯分の思い出は
煙草三本分の副流煙に燻されて
白い鯨に姿を変えていき
生えるともない角が、牙が
生えるやいなや鈴の音
命の振動を噛み締めながら
日曜日が過ぎてゆく
青は赤く、青は白く
潮風は次第に眼球に突き刺さる
吊り橋は虹色
放課後の一瞬であるかのように
黄昏時の狙撃手が
時計の針を撃ち抜いた
掲げた左手
遠ざかる摩擦
カレーライスは明日への架け橋
恋する学生さながらに
青を待ちわび溌剌と
街を傾け夜を往く
黒い雑草掻き分けたなら
今日に爪が伸びてくる
今日に爪が伸びてくる


自由詩 日曜日 Copyright 中原 那由多 2019-02-27 13:36:57
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