owl
mizunomadoka



終わりの始まりは
10歳になった猟師の息子が
父親の古いライフルで
森の木の枝のフクロウを
撃ち抜いた時だった

息子は父親を振り返り
やったと笑い
獲物から最後まで目を離すんじゃないと
父親は誇らしげに息子の肩を叩いた

そしてフクロウが爆発した
光に触れたものは
みな分子分解した

枝が木がライフルが息子が父親が森が家族が町が国が海が地球が太陽が銀河が星々が宇宙が
消えた



アメをあげよう
話を聴いてくれたお礼に

「そのフクロウがコアだったの?」
少女は尋ねる

「まだ光は見えないけど」
男は言う

「いずれここにも来るんだ」
「だから」

「わたしが光を止めるわ」
少女は立ち上がって

スカートの砂を払った







自由詩 owl Copyright mizunomadoka 2019-02-25 00:34:25
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