五十音の石
服部 剛

暗い部屋で
胡坐あぐらをかいている
私の上に

 ?


ひとつ
浮かんでいる

なぜ人間は
言葉を語り
言葉に悩み
言葉にぬくもる
のか

たとえば「あ」のひと声も
口から放つ ひとにより
違う音色で…相手の胸に届き
笑いと涙を誘う
だろう

日々を営む 人と人の間で
互いの糸はこんがらがることもしばしばで
あの日 
私は呟いた
魔法の言葉はない と

――私は今も探し続けている

巾着きんちゃく袋に、手を入れ
五十音を記す玉石をかき混ぜ
熱をもつ文字のパーツを取り出し
今日出逢う あなたの胸の深い所に
そっと置く 












自由詩 五十音の石 Copyright 服部 剛 2019-02-20 20:48:28縦
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