苦難の道の丸い石
竜門勇気


悲しいことが君は好き
苦しいことが友達だ
難しいことは君の教師
辛いことは心の栄養となるんだ

誰も選ばないような
荒れた道を選んで
そして何も
意に介さず進む
すべてがうまくいくなんてないさ
そうやって行く君の横を
歩いていく
僕はとても胸が苦しい

君は
苦難の道のなかで
丸い石を選んで踏む

僕は
こんな楽な道なのに
同じ丸い石を踏んで泣く

君は
笑いながら
歯を食いしばった

僕は
泣きながら
追い越しそうになる
君の歩幅を追う

わかってるんだろ
純粋な苦行はないって
苦難の道の丸い石
堕落の道の尖った石

苦行を探してるなら
力になれるよ
何もかも辛くなる生き方
僕みたいにやれよ

美しいほど狂った嫉妬って
少しだけ届いたほうが強くなるんだ
絶句するくらい強い憎悪は
本当は自分に向いてるんだ

その刃が
刺さってることに
気づいたふりを続けてる

そうだよ
それを続けるんだ

君が続ける苦難の道
僕が並走してる事自体が変だって思わないか?
いつも君が言う成長なんて
僕には剥れた瘡蓋の料理みたいで
吐き気と悲しさが混ざったキッシュみたいに見える

でもわかるよ
辛くて悲しいと
何も考えてなくてもいいもんな
今度交換しようぜ
お互い無言でさ
尖った石と丸い石


自由詩 苦難の道の丸い石 Copyright 竜門勇気 2019-02-20 02:25:43
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