愛のないくらし
こたきひろし

たとえ
お互いの間に精神的な愛情がわかなかったとしても
男と女が一つに重なる夜はけしてめずらしくないよ

たとえそれがゆきずりの一夜であってもさ
心なんて邪魔になって
体に押し退けられてさ
単純に獸の雄と雌になっても

そんな出会いとてんかいを
想像して舞い上がって何がいけないんだろ

人が人として生きていく道筋には
必ず身につけなくてはならないもの

そのために持たされた教科書を
何かの弾みでビリビリに破いてしまったら
社会に
人間として失格の烙印を押されてしまうなんて

愛がなくても暮らしていけるよ
愛がなくても笑っていられるさ

私は
愛情に飢える事を怖れたりしない
孤独を受け入れて楽しめばいいんだからさ

それよりも
今持っている
充たされた愛情が失われてしまう瞬間を
極度に恐れて
息苦しく思えてならないんだ


自由詩 愛のないくらし Copyright こたきひろし 2019-02-17 07:06:40
notebook Home 戻る  過去 未来