冬の花火
秋葉竹


心の優しさのなかに
針を浮かべていたら
痛いでしょう?

覗き込んだ闇色の影の人は
でも届かない特別な鳶色の瞳をしていた

諦めないと
何度も何度も繰り返し
握りしめた手を震わせ
自傷と自嘲を繰り返す
この世界にはびこる
それが鉄壁の思い遣りだからと
握りこぶしを打ちつける
諦めない
諦めないと

流された子どもの感性は
まるで怒涛の怒りのあとに
泣かされた顔で吐き出す
膨らみ始めた胸の最初の希望のようだ

搔き消す時間を過ごす
映像は天球のてっぺんから見下ろした
優勝劣敗を打ち破るためにある
この世界の四隅をまぼろしにする

いっしょの時間を過ごす
言葉ばかりお上手な人の話しかたが
明日を楽しみにしていない
びっくりするくらい過去に君を
置き去りにする間違った優しさだから



明日さえ求めない本物の
問いかけを
たゆまない努力を光らせても
死を感じてしまう
燦々と降り注ぐ数多の希望にさえ
死を感じてしまう
それをなんと呼べばいいのだろう
おいて尽きない心を冷やす
期待と焦燥の絶望形そんなことより
死ぬのが怖いから忘れられない
冬の花火が美しい無駄なのに







自由詩 冬の花火 Copyright 秋葉竹 2019-02-16 23:13:49
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