だいじなことはそこにあること
秋葉竹


あなたが好きなのに
あなたの姿をみながら
交差点で右折するバスに乗ってるみたいに、
永遠に逢えない。


整えられた本棚のなか
しょくぶつ、と、てんたい、の
あいだにはさまれた
しかも隠された、てつがく、の、栞の
艶めかしい葉脈のうずきを
寂しい魂の鼓動とする。
私だけの。


私のことが好きって
証明してくれるんだ
亡霊になっても
もう、逢えないけど白い花を咲かす
常世の森の中で
道に迷い、転がり、進む、
手折り花束とする言葉は純然たる真実
ではないけれど
私だけにくれるなら。
嬉しい気持ち。

私だけの。


幸せになるための鐘は鳴る。
あちこちの
不幸を踏み台にした
選ばれた幸せが訪れるとき

最後には
見つめ直す心のカタチを
ハートにしてくれる。


鐘は鳴る。


そこにはお金さえあれば
汚い笑顔ができる
みたくもない星の瞬きがみえる。


鐘は鳴る。


落花盛んな桜の下の歌声が聴こえる。


鐘は鳴る。


輝いているのに
そんなことより因果律の糸でからまる
現実をみせろとか
どうせ関係ない夢物語さと
白いてのひらを諦めてみている。


鐘は鳴る。


天使のふりをする。


鐘は鳴る。


嘘ばかり降り積もる。


鐘は鳴る。


この地の底にたゆたう。


鐘は鳴る。


このかたくなな街であなたと暮らしても
思い通りにならない静かに微笑む星の下、


悲しく
ゆずる。


神経の爛れたコンプレックスには
もう、謝ることもできなくて
刹那の涙さえ禁じていたけれど
遠くから届けてくれる孤独な雨の匂いは
こんな夜を秘密にする最後の魔法なのか?

だから、あなたは。

夢をみるふりをするのか?

ああ、明日になれば終わってしまう
虚ろな前夜の雨は降りつづく
いまはまだ
そんなにひどい、夢をみている。

このこころがだれにもに伝わらず
ひとり諦めかけている疚しい、夢を。


悲しく
ゆずる。


だから
この嘘に
傷つき直して
すべてを終わらせて
すべてを狂わせる。


悲しく
ゆずる。







自由詩 だいじなことはそこにあること Copyright 秋葉竹 2019-02-15 03:31:33
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