白き顔
帆場蔵人

冬の立ち込める並木道は
身を縮めて、息をひそめて
葉ずれや雲を流す空の息吹きを
まとい、深い憂いに口を閉ざし
軽々に言葉を弄さない

冬よ、あなたは何を思うのか
その白き顔(かんばせ)には
沈黙こそ相応しい

歌うたいは歌うのをやめ
楽隊も行進をやめ、楽曲はやむ
誰もが静止してゆくなか

無粋なシャッターが落ち
冬の首を落とし、私はそれで
冬をすっかり見失ってしまった

そうして誰もが春へと向かってゆくしか
なくなったのだ、あの白き顔(かんばせ)
二度と出逢うことはないだろう





自由詩 白き顔 Copyright 帆場蔵人 2019-02-15 02:02:32
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