葉山美玖

 妻が、家を出た。
 俺は、妻の座っていた椅子を捨てた。次に、
使っていた家具を全部捨てた。思い出すとつ
らいので、アルバムの写真は全部綺麗に切り
取った。
 残るは子供だ。
 息子は、妻を思い出してはむずかるので、
遠くの寄宿舎に捨てた。娘は、厄介だった。
面影が妻に似ている・・・。仕方なく、遠い
街のマンションに男と住まわせた。
 そして、夜の夢だ。夢を俺は捨てた。医者
に頼んで、中時間作用睡眠薬を飲んだのだ。
これで、5時間ですっきりと目覚める。
 しかし、起きている時に、妻を思い出すの
は、もうどうしようもない。俺の人生、次は
何を捨てようか・・・。


自由詩Copyright 葉山美玖 2019-02-14 00:16:51縦
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