お互いがんばろうね
まきしむ

まことに世界は美しいもので溢れているよ

ほんとよ 午後の光が葉をすり抜けて僕はそこにいたよ

赤子が手を振っていたよ 工場の中でガラスが弾けて

それを踏んで怪我をしたよ 血が流れた

あいつはいじめられていた 僕は近くにいて

偽善者にしかなれなかった それであいつはいなくなった

街であったよ するとニコニコ笑ってたし別に傷ついてなかったんだって

多分 それで俺はスーパーマーケットに行って

おさかな天国を聴きながら魚を買った

帰る途中に排水溝に捨てた

社宅の連なりがドミノみたいで 夕日を浴びて思い出を温めて

でもそれも壊されて 僕は一人ぼっちで

猿ぐつわをはめて 一人道化師をやってた

それで楽しかったから 人生がなんだって

気にならなくて がじゅまるの木を買って

部屋で育てておりました

 

君が来てくれるかなってのが楽しみで

いつも床を磨き トイレを掃除していました

すると君は来てくれたんだけど

友達って言うから私は一人でろくろを回していました

すると帰ると言うから 一緒に帰った

キンモクセイがいい香りを街に放って

子供達は家に帰った

我々は改札口の前で少し殴り合って

お互いがんばろうね

そう言って別れました まことに

世界は美しいもので溢れていたよ


自由詩 お互いがんばろうね Copyright まきしむ 2019-02-11 15:08:10
notebook Home 戻る  過去 未来