考える み (想起させるものに忠実に)
乾 加津也

おととい来やがれ は荒くれで
わかってて使うから始末に負えない
おとといお越しやす なら
品よく耳触りもよろしい
だから はんなりと生きたいのだが
自分が許しちゃもらえない
上等じゃねえか は意訳して
結構でございます にしたら感服もほどよく
ご両人とも
落としどころが見えるかもしれない

では 自分はどうしよう
私はかしこまり
俺は無粋で
僕は幼い
自分のことを
自分は他人で
己は時代の向かい風
自分は自分で考えるのがよい
身というのが いいかもしれない
“み”
そこにはなんにも詰まっていない
それでも か
そこで か
みは考える
だれかの真似をしながら
考えようと するだろう
みのたけもしらぬまま

それからついでに思う
せっぱ詰らないこと
愛想をつかさないこと
ご機嫌よろしくないときも
塞翁が馬
しあわせな言葉だと
みは思う

そして 最期は
覆水を
盆に返すことにしよう
全部でなくても
いいだろう


自由詩 考える み (想起させるものに忠実に) Copyright 乾 加津也 2019-02-08 14:46:41縦
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