ひかり 放す手
木立 悟





こぼすものなく
こぼすものなく
またひとつになる
雪の花が
雪の手に廻る



遅いまたたきが
音の背を見る
幾重にも連なる
虹の輪を見る


熱くて
触れていられないものに
いつまでも触れつづけて
冬の夜になる


水面の黒
月の円柱
影のなかに立つものの影
ゆうるりと土にたなびいて


暗がりと闇のはざまの
小さなまぼろし
心はふたつ
ひとつだけがうたう


ひかり
ひとり
どこまでが手
どこまでが花



あたたかな水が
宙をあたたかく押しのけ
音を色を 蒔いてゆく
雪の手に 雪の手に
咲かせゆく


















自由詩 ひかり 放す手 Copyright 木立 悟 2019-02-05 20:44:18
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