ある日のえんばー6
若乱

(つづき)

8月6日(月)

6日は昨日のうまく立ち回っているすごい店員に5時半に出る、と言ってしまったのでもう少し寝ていたかったがぴったりの時間にでる。
受付の人違う人になってて、もう少しゆっくりしていてもよかったか、と後悔。すでに暑い朝日を浴びながら、まだ閉じている大きな店の立ち並ぶ大通りを行く。もう眠くて、しかし、休むには居場所がない、孤独(あー、放浪…)に絶望的に朝日が差し込む中、チェーンのレストランの目立たない駐輪場で横になったり、柵で囲った大きいゴミ箱あたりに人がいて、居心地が悪くなり、しばらくして歩き出す。結局店と店の隙間の人目のつかない地べたに空気で膨らませるオレンジのマット、座り込み、少し寝たり、歯ブラシしたり。すでにヘロヘロ、疲れている。この日くらいから何日間か、あるいはずっとぼろぼろだった。
(9/4書くと決めたのだ。もう朧気で、無意味でつまらなくて書く着色でリアリティを失ったとしても書かねばならない。)
途中、まだ開かないパチンコ屋の駐車場にすでに結構な数の車。居場所とは、意外に難しいものだ。ああやって、パチンコ巡りをする過程で、車中泊を繰り返し、お金を失ったり、儲けたりしながら全国を巡り、ホームレスじゃない人に属し、居場所を、確保してしているのかもしれないとか思った。…おっかねー。
出勤の人たちがたくさん、車の量も多くなり、自分の服が惨め(足が細すぎる)に思え、橋の下でだるだるの学ランみたいな作業服に着替える。なんか物語のセリフがばーばー流れてくるから気分的にもったいなく思えてスマホに書く。大きな荷物背負って都会の中惨めなかっこでスマホに何やら書いている明らかに怪しい、かわいそうな午前中であった。
あまり覚えていないが、かなり黙々と歩いたと思う。
豊橋あたりから、浜松あたりまではあまり人のいない工場地帯、といった感じ、においも結構、そんな感じで、でかでかとトラックの運転手の募集をしていた。
ゆるゆると、しかし大変な坂道で、曲がりながら進んだ。工業地帯過ぎると畑とガードレールと道路と車しかなく、水分少なく、自販機もなく、かなり危なかった。「あそこまで行ったらあの家に水道借りよう」とか思いながら歩いた。とても暑かった。
なんとか自販機見つけ、買い、飲む。無人にみえるカフェ(?)の残骸(?)のようなところに、自販機だけ元気に営業していた。その後も上り下りをかなり限界な感じで歩き続ける。
山道過ぎて、下り坂、山の間、トラックの過ぎる隙間に小さく海が見えて、(ああ!!)と写真をパチリ。坂途中のトラック休憩所レストラン、結構沢山人がいて、(こんなところにどうして人が来るんだ、と思った)みたいなところの自販機で水分。この日は結構つらくて、長ズボンまくったりした。裸足にサンダルだった。
道の駅スルーして、海岸線へ大きな道路橋の下で休憩。少し歩くと、どかーーん、と海。
白須賀海岸に出たときは、はああーっ!て感じ。砂浜歩く。
誰も足跡つけていない、波の靄、遠くまで誰一人いない、波音、風、さらさら、晴天、を絶望と疲労と汗でぐちょまみれになって歩く。もこもこ、ふかふかの砂で、一歩一歩深々と足跡がついた。縁で厚みのある波で力強かった。海鳥。 随分歩くと人影ちらほら。
(つづく…)


散文(批評随筆小説等) ある日のえんばー6 Copyright 若乱 2019-02-03 22:18:04
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