始まりの湖
世界世紀

湖に雪が吸い込まれていく
僕も行こう 一緒に溶けよう
空より暖かい水底で
幻の首長竜が待っている

最後の一頭になった鹿を連れ
最後の一匹になったイトウの後を
降りしきる氷晶に導かれて

溶ける、溶けて空になる
水底に広がる砂の空
流れ込む先に銀盆の月
中心から緩やかに光が滲んで
静の海まで道ができる

産まれる前に通る深淵で
僕は一つのミームになる
一粒の砂になって空に放たれる
空で凍って雪になったら
始まりの湖に帰っていける




自由詩 始まりの湖 Copyright 世界世紀 2019-02-03 18:31:27
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