崖の上の星座(ほし)
犬絵

穿つ
一点の水滴
たえまなく
焦らず
おごらず
白い石、穿つ


ダメな
期待を
いだかせない
過去の自分自身を
穿て


刃物のような崖から見降ろす
目の前の荒海が騒ぐ
ならば


メロディーが
囁きかけるあのころの
過去の夜
冬の星座(ほし)みて
とりもどした
淡い希望
一滴


それよりもゆっくりと歩く罪、


峻烈な
自分を
夢にさえ見れずに泣く胸の裡(うち)


吹きすさぶ
白い霊舞う荒海を正面(まえ)に
見えないもの
おもいという
不自由なもの

真っ正面から、
見降ろし、睨みつける
荒海の
まえに立ち居て
ただ自分自身の
苦しみを
斬る


崖の上に立ち
海の生物たちの
騒がしい求愛の声を聞きたい
そして
冬の星座(ほし)の
冷たさに触れて
人のひとりの孤独の色を
しばらくは
それは
いつかは溶ける氷の色だからと
偽わっていたい






自由詩 崖の上の星座(ほし) Copyright 犬絵 2019-02-03 10:03:18
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