糸の追憶

しらふの星が目障りな夜のことです。
漆のように艶々とした海を生きる人魚の
三オクターブ上へ鰊は鱗をバラ撒き
チャコールグレーの砂を照らしたそうですよ。
それ以来、
チラチラチラチラ
光るのは子供たちの夢ではありませんから、
海を越えた地の底へ あるいは天の底へ
しんしんと沈みたく存じます。


猫背のなおらない糸操り人形は言いました。


自由詩 糸の追憶 Copyright  2019-01-30 20:21:21
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