口紅に、雪
秋葉竹



まだ生きる
蜜柑の香りのする居間で
ふたりに夜なし、死の絆なし


新月に
聴こえる星降る歌の声
赤い少女の唇にも似せ


羽根のない
詩人の傷は恋となり
ふたりの綺麗な視線がからまる
 
 
(恋双翼)


恋あざみ
花も葉も散り、舞い落ちて
その劇中でヒロインになる


白雪が
音なき塔に降る日には
閉じた胸にもそっと降り積む


嫌われて
ほお引っ叩かれても気にしない
それでも引けない理由があるんだ


君の影、
強く踏み締め思ったの、
ここにこのまま縫い止めたいんだ


華の雪
口紅に咲くその一瞬、
小さく笑ってペロリと舐めたよ






短歌 口紅に、雪 Copyright 秋葉竹 2019-01-26 17:25:03
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