ある日のえんばー1
若乱

(歩きの旅行の記録のある一日です)
8/5(日)
夜中、ラブホ臭いのが嫌で、タオル、田んぼの水借りて全身を拭く。畔で寝る。起きる。浮浪者と何一つ変わらなくなっていることにも、不快で、みじめで死にそうになりながら、毛穴という毛穴から噴き出る不快感洗い流したく、コインシャワーを探す。安城トラックステーションに行く。ものすごい水圧のシャワーを存分に浴び、だいぶさっぱり。自動販売機でアイス2個買い、食べる。相変わらず暑いも、シャワー浴びれてよかった。絶望が一周回って、ハンバードハンバードの「生活の柄」を聞き、歌いながら、(歩き疲れては夜空と陸との隙間に潜り込んで草に埋もれてねたのです…)
初めてコンビニでは臭いといわれず買い物ができてよかった。びしょびしょの髪を強烈な太陽光と風で乾かしながら湯上りの気分で歩いた。(ぼおっとしすぎてしばらくズボンのチャックが開いていることに気づかなかった)

どんな道も絶望なのだとしても。この世がジゴクだと、気づくのが遅すぎたのだ…
なにやら馬鹿みたいに書いている。この日は日曜日で、平日よりは社会のプレッシャーが少なかったか。トラックステーションは休憩室、シャワー室、ラーメン屋さんがあって、日曜日だからなのか、受付のようなところに人はいなかった。苦しみのおかげでずいぶんチャキチャキ歩き途中、やはり帽子ないとかなりきつく、岡崎城のあたり、橋わたっている途中飲み物なくなり、馬鹿くそ暑い中、ヘロヘロと歩く。脱水症状目前、その後も炎天下の中歩き続け、かなり危なかった。歩道橋渡ったところのゴルフショップの自動販売機、助かった。つぶつぶアロエ美味しかった。
帽子のありがたみを痛感し、ゴルフショップで勢いで5千円以上する(僕にとっては)無駄に高いブランドのロゴがデカデカと書いてある帽子を買い、出発。すぐに後悔、僕にとっては不釣り合いな無駄な威力なのである。僕がゴルフの帽子をかぶるその内側に、なんの理由も、隠喩もないのに高い、ブランドはでかでかっと主張するのである。着こなしとは、自分が他人にどう見られたいか、なのだ、きっと。わーわー偉い人だー、パチパチって他人に脂汗垂らさせながら苦しい作り笑いで見送られたい人は中身などなくともブランド品に身を包んでそうやって歩けばいいけど、僕にとってそのブランド品が等身大の大きさであるのなら、いいけれど、自分にはそのゴルフ(ルールすら知らないし…)の帽子が等身大とは到底思えず、嘘がばれた時のように恥ずかしい。すぐにザ・ダイソーで、250円の帽子買う。無印で少しペラペラだけど、機能的には何一つ変わらない。5000円と250円。人は何倍もの値段で、威厳という何よりの生きやすさを買うのだ。呼吸しやすくなる感じだろうか、と息のしにくさに納得しながら、暑い中チャキチャキ歩く。
(つづく)


散文(批評随筆小説等) ある日のえんばー1 Copyright 若乱 2019-01-24 19:00:39
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