ひかり けだもの
木立 悟







羽が水が糸くずが
身体の外を巡りつづける
拍手は砕け
曇空を覆う


枯れ葉の手が
枯れ葉を掴む
夜の階段をゆく
ひとしずく


青空のけだもの
降りそそぐ足跡
風が 水が
過ぎる目のなかに編まれたなびく


冬の奥へ向かう橋
眠気という名の歯車を
夜の階段に運ぶもの
誰の声にも応えずに


冬の光の巣のなかに
手のひらの星を飛ばすもの
海をついばむ曇の鳥
さらさらと名をつぶやく霧


水たまりの鈴を拾いながら
降るはずもない幻に手をかざし
蒼とこがねと夜明けのはざま
誰もいない真昼の背中


雨粒に鳴動し
空に夜を返す橋
けだものが冬に置いてゆく
遅く遅くひろがる水紋


緑は指に血を映し
三叉路を羽で埋めてゆく
風はひとさじ 冷たさを摂り
見えない街への標に触れる






















自由詩 ひかり けだもの Copyright 木立 悟 2019-01-22 17:20:22
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