行き場のない夜に
帆場蔵人

わたしの椅子に
誰かが座っていたから
夜の浜辺に座っている

冬の日本海が
風邪をひいたように
ぐずっているから

ハーモニカを吹いてやる
いつまでも吹いてやる

なぜなぜ泣くのか
浜辺に埋まる硝子片
涙のように散り光り

夜の浜辺を椅子にして
波をあやしてあやされて
迎えの船はあてもない


自由詩 行き場のない夜に Copyright 帆場蔵人 2019-01-21 04:17:06
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