海風
ゴデル

俺のいのちが
下水を通って
どぶ川にダイブした

もともと軽いそれは
プカプカ
河口まで流れていった

突然無数の
鈍色のナイフに囲まれた
ボラの稚魚の群れだ

俺のいのちは
ぐちゃぐちゃに
食い荒らされてしまった

こんなものが好きだから
死んだような目をした
成魚になるのだろう

せっかくここまで
崩れないでいた
俺のいのち

赤い海の
灰色の水平線まで
溶けて広がった

海鳴りとともに
大容量の
臭くて冷たい風が
俺の顔に当たった

口の中で吐いたげろを飲み込んだ











自由詩 海風 Copyright ゴデル 2019-01-09 16:12:15縦
notebook Home 戻る  過去 未来