目眩
ミナト 螢
何につまづいてどこで倒れて
誰の手も届かないこの場所で
立ち上がることが怖くなったから
今は目を閉じて時間を戻そう
パールのネックレスのような長さで
繋いできたはずの思い出が揺れて
黒い雲が行ったり来たりして
フラついた後に足を引っかけた
緩衝材が切れた身体には
丈夫な杖を与えてあげよう
苦しみも哀しみも味わって
時には怒りをぶつけたとしても
君が手を伸ばし先へ進むなら
いつか元通りに歩けるだろう
暗号みたいな不吉な震えを
唇に感じた冷たい床で
裸足のスリッパが廊下を急ぐ
体を自由に動かしながら
自由詩
目眩
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ミナト 螢
2019-01-08 16:36:50