春さんやあ
田中修子

「あかちゃん 一」
あかちゃん
春先の木の芽だよ
さくらの けやきの えださきの
まあるくって これから
うん っと ひらこう

「あかちゃん 二」
ひかりのあかるい
つめたなひるの公園で
あかちゃん たったよ
あんよよ あんよよ
すっくと なあれ

「あかちゃん 三」
ほっぺたすべすべ
冬の金の光はさして
ほっぺはひかる
ふくふくほっぺは
ちべたいと赤い
林檎ちゃんや

「子どもら」
子どもたちがぶらんこをこいで
お空と地べたを
行ったり来たり 笑ってる
そうだ
わたしもむかし
お空だった地べただった
鳥とおしゃべりしていたころを
なんでわすれてしまったろ

「春さんやあ」
もうすぐ冬にさよならだ

つめたな風は
幾つにも重なった痛いように澄んだレース
の透き間を縫うように
おひさまがキリリと
さしてきます

梅が咲きますよ もうすぐ 梅が咲きますね

お久しぶりです 春さんやあ

あといくつ
このように
ご挨拶できますでしょうか
きっと あっというま でしょうね

春さんやあ


自由詩 春さんやあ Copyright 田中修子 2019-01-05 08:52:00縦
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