夕方の散歩
服部 剛

小袋を開けて
柿の種を食べる
てのひらにのせ
柿の種に混ざるピーナツを、数える
――この組み合わせは二度と無いだろう

夕刻 ダウン症児の息子の
小さな手をとり
川沿いを歩く 15:39
覚束おぼつかないリズムの、二人三脚
アスファルトにのびる親子の影
路地からふいに息子の頬を照らす
新年の夕陽

柿の種も
夕の影も
これから始まる日々のチームも
代わり映えない営みのようで
――二度と無いだろう

息子よ
やがて君が大きくなり
もしも働くようになったら
無理はせず
日々のすき間で
パパの言葉を時々思い出してほしい

君の目の前にいるであろう
人と人の間に
何かを分けあいながら
刻々と過ぎてゆく「今日」のことを  






自由詩 夕方の散歩 Copyright 服部 剛 2019-01-03 23:59:59
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